学問空間 suzukikotaro’s diary

gooブログから引っ越してきました。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

田渕句美子氏の方法論的限界

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月27日(日)13時09分39秒 前回投稿で「加害者としての女性史」を開拓したいと書きましたが、これは別に女殺人鬼や女武将の研究とかではなくて、「知的で魅力的な悪女」の発掘ですね。私は旧サイトで「中世の最も知的で魅…

「被害者としての女性史」の限界

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月26日(土)11時56分23秒 1997年に開設し、2015年まで存続していた私の旧サイト「後深草院二条─中世の最も知的で魅力的な悪女について」は、今は「インターネット・アーカイブ」で読むことができます。http://web.archive…

宮城往復弾丸紀行

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月25日(金)10時03分25秒 二日投稿を休んでしまいましたが、宮城県に直接出向かなければならない用事があって、23・24日と弾丸往復して来ました。日本海側は大雪とのニュースがあったので、往路は念のため北関東自動車道…

田渕句美子氏「宮廷女房文学としての『とはずがたり』」(その9)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月22日(火)21時28分20秒 いよいよ最後の部分です。(p49以下)田渕氏も二条が美貌(自称)と教養を武器に、東国の最高権力者相手であっても堂々と振る舞い、全国各地を漫遊した活動力溢れる女性であることを認めてはいま…

田渕句美子氏「宮廷女房文学としての『とはずがたり』」(その8)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月22日(火)12時41分47秒 前回投稿で「東三条院」は「東二条院」の誤植、と書いてしまいましたが、活版印刷で植字工が誤った活字を組んでしまうようなことは遥か昔の話ですから、「誤植」も死語になりつつあるのでしょう…

田渕句美子氏「宮廷女房文学としての『とはずがたり』」(その7)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月21日(月)20時49分34秒 『とはずがたり』の巻四・巻五に計四か所、奇妙な「書き入れ」があることは、『とはずがたり』の基本的性格が「女房日記」か、それとも自伝風小説かを考える上で、私にはけっこう大事なことのよ…

田渕句美子氏「宮廷女房文学としての『とはずがたり』」(その6)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月21日(月)13時26分34秒 初登場の「有明の月」がいきなり二条に恋の告白をする場面、私訳も紹介しておきます。-------【私訳】このようにして三月のころともなると、例の後白河院の法華八講の法会である。六条殿の長講堂…

田渕句美子氏「宮廷女房文学としての『とはずがたり』」(その5)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月20日(日)22時21分37秒 田渕氏は「また、「一昨年の春三月十三日に、初めて「折らでは過ぎじ」とかやうけたまはり初めしに……」(巻二)は「有明の月」(性助法親王)から求愛された時のことを回顧するが、こうした記述…

田渕句美子氏「宮廷女房文学としての『とはずがたり』」(その4)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月20日(日)12時22分7秒 『増鏡』で「久我大納言雅忠の女」が「三条という女房名に屈辱を感じて嘆く」場面、「こうした無名の一女房の感懐を記すものは女房日記以外には考え難」いのは確かですが、そもそも女房名が気にく…

是澤恭三氏(1894-1991)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月19日(土)21時11分52秒 >筆綾丸さん>「それを続き具合も」これは私の写し間違いかもしれないですね。是澤氏のお名前で検索しても良い記事はなく、「インターネットアーカイブ」の私の記事の略歴が一番詳しいような感…

田渕句美子氏「宮廷女房文学としての『とはずがたり』」(その3)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月19日(土)19時26分43秒 北山准后九十賀は『とはずがたり』『増鏡』その他の史料を詳しく比較検討して行くと面白いことが多くて、私も以前、それなりに熱心に取り組んでみたのですが、今から振り返ると、些か袋小路に踏…

田渕句美子氏「宮廷女房文学としての『とはずがたり』」(その2)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月19日(土)11時43分35秒 田渕句美子氏の学位は「お茶の水女子大学 博士(人文科学)」だそうですから、略称は「お茶の水博士」なのでしょうか。国文学研究資料館を経て2008年から早稲田大学教授で、2020年には『女房文学…

田渕句美子氏「宮廷女房文学としての『とはずがたり』」(その1)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月18日(金)20時55分36秒 それでは少し視点を変え、共通テストから離れて、国文学界における『とはずがたり』研究の最新状況を確認しておきたいと思います。検討の素材としては、昨年二月、『歴史評論』850号に掲載された…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その20)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月18日(金)13時34分9秒 改めて共通テストの設問を振り返ると、出題者の頭の中には、「過去の人物や出来事などを後の時代の人が書いた」「文学史では『歴史物語』と分類されて」いる『増鏡』が『とはずがたり』を一資料と…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その19)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月17日(木)12時28分43秒 『増鏡』では後深草院と前斎宮の二夜にわたる情事は建治元年(1275)の「十月ばかり」の出来事なので、それに続く前斎宮・西園寺実兼・二条師忠の三角関係のエピソードは建治二年(1276)以降の…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その18)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月16日(水)12時26分5秒 前回紹介した部分に「負くるならひ」という表現がありましたが、これは『伊勢物語』第六十五段「在原なりける男」の「思ふには忍ぶることぞ負けにける逢ふにしかへばさもあらばあれ」という歌を踏…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その17)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月15日(火)11時46分18秒 続きです。(井上宗雄、『増鏡(中)全訳注』、p223以下)------- 明日は宮も御帰りと聞ゆれば、今宵ばかりの草枕、なほ結ばまほしき御心のしづめがたくて、いとささやかにおはする人の、御衣な…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その16)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月15日(火)10時51分41秒 続きです。(井上宗雄、『増鏡(中)全訳注』、p209以下)------- 日たくる程に、大殿籠り起きて、御文奉り給ふ。うはべはただ大方なるやうにて、「ならはぬ御旅寝もいかに」などやうに、すくよ…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その15)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月14日(月)13時23分26秒 それでは『増鏡』が描く前斎宮の場面を紹介して行きます。(井上宗雄、『増鏡(中)全訳注』、p207以下)------- まことや、文永のはじめつ方、下り給ひし斎宮は後嵯峨の院の更衣腹の宮ぞかし。…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その14)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月14日(月)12時16分58秒 以上で巻九「草枕」の前半を終えて、いよいよ前斎宮の場面に入ります。「草枕」というタイトルそのものが、後深草院が詠んだという(『とはずがたり』には存在しない)「夢とだにさだかにもなき…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その13)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月13日(日)11時37分39秒 『増鏡』では後深草院が太上天皇の尊号と身辺警護の随身を辞退しようとした時期は明記されていませんが、史実では、これは文永十二年(1275)四月九日(二十五日に建治と改元)です。『続史愚抄…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その12)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月12日(土)21時35分44秒 元寇にほんの少し触れた後、話題は後深草院の出家騒動に移ります。(井上宗雄『増鏡(中)全訳注』、p197以下)------- 新院は世をしろしめす事変らねば、よろづ御心のままに、日ごろゆかしく思…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その11)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月12日(土)12時59分42秒 『増鏡』巻九「草枕」の続きです。(井上宗雄『増鏡(中)全訳注』、p192以下)------- 本院は、故院の御第三年のこと思し入りて、睦月の末つ方より六条殿の長講堂にて、あはれに尊く行はせ給ふ…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その10)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月11日(金)12時32分33秒 共通テストでは、前斎宮に関連する場面の中でも、入試問題用に特別に限られた区分で『増鏡』(【文章Ⅰ】)と『とはずがたり』(【文章Ⅱ】)を比較していました。 2022共通テスト古文問題の受験レ…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その9)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月10日(木)11時55分44秒 二条が他人の口を借りて自分の家柄と人柄、そして美貌を誉めまくるのは『とはずがたり』における常套手段で、既に大宮院がかなり誉めていますが、ここで後深草院が絶賛し、更に巻二で「近衛大殿…

2022共通テスト古文問題の受験レベルを超えた解説(その8)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月 9日(水)13時05分8秒 早稲田大学教授・田渕句美子氏が『歴史評論』850号(2021年2月)で「宮廷女房文学としての『とはずがたり』」という論文を書かれていて、最近の『とはずがたり』研究の状況を概観するには便利です…

後深草院二条の「非実在説」は実在するのか?

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月 8日(火)21時42分44秒 佐々木和歌子氏は「解説」で、------- ここまで書くと、私たちはずいぶん彼女のことを理解したような気になる。けれども実は、後深草院二条の非実在説なるものが存在する。というのも、作中に多…

『とはずがたり』の政治的意味(その1)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月 7日(月)12時56分15秒 >筆綾丸さん>金沢貞顕くらい知的であれば、あの方の話はどこまでホントなのか、よくわからなくてねえ、と苦笑していたような気もしますが、 昨日は四分前の御投稿だったので暫く気づかず、失礼…

佐々木和歌子氏の基本認識(その2)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月 6日(日)13時57分22秒 共通テストをきっかけに私の掲示板・ブログに来られた『とはずがたり』初心者の方には、佐々木氏の「訳者まえがき」は丁度良い道案内なので、もう少し引用させてもらいます。(p7以下)------- …

佐々木和歌子氏の基本認識(その1)

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 2月 6日(日)11時36分44秒 光文社古典新訳文庫で『とはずがたり』を担当されている佐々木和歌子氏は、-------1972年、青森県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。専門分野は日本語日本文学。(株)ジェイ…